創造都市とグローバル・エコノミー 「パラレルセッション2創造都市のインフラとしてのテクノロジー」見てきた

国際シンポジウム 創造都市とグローバル・エコノミーと言うイベントの、AR関連のセッションを聞いてきた。

討議者は以下の方々(敬称略)である。
・ナレッジワークス 亀山悦治(@kurakura)
・慶応大学 稲見昌彦
・博報堂 近藤ヒデノリ
・クウジット 末吉隆彦
・東急エージェンシー 津田賀央
・アスキーメディアワークス 中西翔智
今日会場にセッション5分前について、エレベータ待ちながら
「ギリギリだなぁ」
とか思ってたら、一緒に待ってる人に声を掛けられた。そう、本日の討議者の一人、
稲見先生である。
以前、AR三兄弟長男こと川田十夢に誘われて言った飲み会で
一度お会いしたことがあるのだが、顔を覚えて下さってた事と、
このタイミングで出くわすと思ってなかった(討議者だし)ので、
凄いビックリした。

さて、受付後、会場では真正面の前の方に座ってみた。
大学時代とか絶対座らなかった位置だな。
今回はXoom+BlueToothキーボードに初挑戦したのだが、意外と使えた。
ただ、キーボードは日本語配列だったのだが、認識は英語でされてて、
一部記号が打ち辛かった。
あと、日本語モードと英語モードの切り替え方法が分からず、知らぬ間に
なってて戻せなかったりしてかなり苦戦した。
最終的には、ソフトウェアキーボード出しながらBTキーボードで打ち込む作戦で
何とかなったが。Wnn IMEだと不便なのかな。なんかいいIMEとかあるのか?
Xoom+BTキーボードの組み合わせは軽くて便利なので、是非活用はしていきたい。


さて、内容と言うか、要点をを順に書いていく。
前述の通りキーボードパニックにあっていたので、特に最初の方は入力具合が悪いのであしからず。

亀山悦治氏 事例紹介

この人は、この「development memo for ourselves | Augmented Reality World | 拡張現実」と言うブログの人だ。
ブログにある写真を見てもっと若いかと思っていた。簡単に加工に騙され過ぎていた事に気付いたよ。

以下、発表内容のメモ

ARは単に映像に情報オーバーレイだけでなく、顧客接点を強化する
新たなインタフェース、見えない情報を可視化するインタフェースである。

昔からある技術だったが、最近のデバイスの発展と相性がよかったため、一気に注目を集めた
実現手法
・マーカー
・ビジョン(マーカーレス、絵、画像)
・センサ、位置情報
・ジェスチャー
・立体形状
・空間認識
・プロジェクションマッピング
・カメラに画像を重ねる

実現できること、用途事例
都市の中のAR事例
・オーバーレイ、犯罪、交通事故の可視化、観光、リアル連動ゲームなど
・事例:地下鉄駅にQRコードがあり、そこが仮想店舗になっている。買うと家に着くまでに届く
・交通事故多発地帯の可視化
・映画連動
・リアル連動スパイゲーム
・過去の写真を現在の映像にオーバーラップ(ロンドン博物館)
・ビルの壁にプロジェクションマッピング
・消防士のマスクに情報をオーバーレイのアイデア

音風景のデザインと拡張
・聴覚に対するAR
・今後必要になってくる

稲見昌彦氏 いい「加減」なAR

まず、以下の動画が紹介された。

その上で、これが幸福な形か?という疑問。
そして、ARに対して、DR(縮減現実感Diminished Reality)の紹介。
要するに、現実(カメラで写した画像)に何かをオーバーレイするのではなく、
要らない物をどけてしまおうと言う試み。

以下の事例を紹介された。全部動画があったので、探せば見つかると思う。
透明プリウスだけは見つけた。

  • 光学迷彩技術を車のリアシート全体につけて、後ろが見える(透明プリウス
  • プロジェクションマッピングを使って、重なってる書類の一覧をオーバーレイする技術
    天井にプロジェクタがあり、書類の山の中に含まれる書類が一覧表示されるというビデオを紹介。
    実世界とiTunesの融合っぽかった。

    これを発展させ、家の中にあるものをプロジェクターで探せるようになるというアイデア

  • 行き先を指定すると、道順を示してくれる棒(角に来ると、曲がった感じになって教えてくれる)
    これは棒状のガジェットで、道案内をしてくれるみたい。これも動画を紹介。

締めはこんな。

ユビキタス いつでもどこでも誰とでも
から
今だけここだけあなただけ

近藤ヒデノリ氏 広告コミュニケーションとARの可能性?

この人は博報堂の人で、広告戦略としてARを捉えている。
そのため、普通のAR研究者とかAR系企業(クウジットとか頓知・とか)の人とは
違った見方をしていて、凄く面白かった。ただ、キーボードパニックが最高潮だったので、
あまり情報を残せてない。基本的には事例紹介で、一番大事だなと思ったのは、
以下の発言。

  • ARは、一時期話題になったけど流行が終わった?と思われてる
  • ARは数ある表現手法のひとつで、費用対効果があるのか?街中でAR連動広告があるとして、その場でアプリをDLするか?などが<クライアントの関心事項である
  • 単発だと、基本的には費用対効果が薄い

後、俺のキーボードパニック絶頂期に、
確かこのAR三兄弟の事例の紹介もしていた。

AR三兄弟がニセ広告を使ったTVドラマのキャンペーンを実行中!

AR看板でのCM動画は、正直アプリを落とすより動画落としたほうが早いけど、
連動コンテンツで勝負している所がAR三兄弟は流石だとか、そう言った事を
話してたと思う。

末吉隆彦氏 クウジットの事例

クウジットが取り扱った事例の紹介。
仙台のショッピングモールでは、ARを用いたスタンプラリーやクーポンと言った、
利用者側の視点から見たARアプリが、実はPlaceEngineを使ってユーザの行動を
記録し、行動マーケティングに使えるという両面からの紹介をしていた。
ARだと、紙と比べてタイムリーな情報をのせられるため利用者、店舗ともにメリットがあり、
また、位置情報を用いた顧客行動の記録による、マーケティングへの活用では、
安いアクセスポイントをモールに多数配置することで、位置情報の精度をあげているとのこと。

他の事例では、博物館で、簡単な蒔絵体験アプリを提供する。アプリ自体は簡単なものだが、
国宝の蒔絵が目の前にあると、チープなアプリもリアルに見えるというリアルとの融合。
また、触ることが出来ない重要文化財の前で、それと連動したアプリを提供するとリアルに感じるとの事。

後は、仏像を展示する際に紹介ビデオを見せるだけだと、ビデオに興味を持ってもらえないが、
最後に「あなたはどの仏像と暮らしたいか?」と聞くと、もう一度ビデオを見足りしてくれると言う宣伝手法。
他にも、笑顔を認識するサイネージを配置した上で、周りに着ぐるみなどのリアルな演出と組み合わせ、楽しんでもらう話など、
ARを作って、その上でリアルのプロモーションによって利用してもらう、お互いに昇華していくという
手法を活用している話をしていた。

津田賀央氏 一連のARプロモーションの振り返りまとめ

今月で東急エージェンシーをやめるので、関わったAR事例をまとめると言う話。

    pinaclip ぴなくり

    東急としては渋谷の価値が高いが、連絡線(渋谷から他の駅にいける路線)が増えて渋谷が通過駅になると価値が下がる。
    そこで、なにか付加価値を産み出したくて実施したらしい。東急のリアルな話だ。
    ぴなくり本体による位置情報ベースのつぶやきに加え、特別なプロモ連動も実施。

    • ぴなくりを使い、映画やアニメのプロモを実施
    • 東急ハンズで店内ナビゲーション実施

    ぴなくりパワーアップ版

    • 位置情報だけだと、クーポンあっても店に来てくれないので、
      「やってる感」を出すために、マーカーを店において、リアルタイム情報を出すと言う工夫をした。
    • 短期のイベントにも対応できるようアプリを改造した。
    • 街中のマーカーと連動して、マーカーをかざすと町が成長するゲームを作る
    • アーティストとセカイカメラを連動した企画をやる

    東急は渋谷の案件が多いと言う、東急の渋谷に対する思い入れも聞けた。
    後、次はちょっと皮肉と言うか、タイミングが大事と言う話。

    VITTEL X NEWBALANCE TOKYO RUN

    セカイカメラのアプリ内アプリとして、東京都内に仮想ランニングコースを設置、
    エアタグを集めると抽選でプレゼントすると言う企画。
    この企画は、エアタグをどの距離で見せるかが重要だったらしい。
    近すぎるとGPSの誤差で見えなくなったりするし、遠すぎると見えすぎてつまらない。
    試行錯誤の結果、150メートルがベストと判明したとの事。この辺はリアルな工夫だね。
    この企画は面白くなりそうだったのだが、発表が3/15と震災直後だったという悪いタイミングと、
    さらに悪いことに「東京の水道水が放射能汚染されている」という報道があったために水の買占めが
    行われ、VITTERLがなくなってしまった。元々この企画の宣伝は、VITTELの蓋のおまけで
    宣伝して行こうとしていたため、完全にプロモーションの道が切れてしまったと言う。
    ただ、企画の「プレイフル シティ」の実験としてはよかったとの事。

    また、締めはこんな感じ。

    ARはなんでも好き勝手できるが、街との連動など、意味のあることをしないといけない
    何度も見せたいか?人に見せたいか?
    デバイスに縛られる必要はない(スマホにこだわるな)

    後この人も博報堂の人と同じく、ARは表現の手法に過ぎないことと、単発のアプリは儲からないことを言ってた。
    そのため、ARは既存の社会との結び付きが不可欠で、その意味で、位置情報やマーカーは有効(やってる感)。

    中西翔智氏によるモデレーション

    岩渕指示書に従った質問コーナー。
    中西:ARはまだ収益性がないが今後どのように儲けていくのか?
    末吉:2009年くらいは、ARの説明から入る必要があったが、今はすぐに本題に入れるため楽。
    末吉:ただ、市場を作っていかなくてはならない。正直儲かっていない。AR自体ではなく、インタラクションが興味の対象
    中西:今はプロモーション用途が多いが?
    末吉:もともとARは人を驚かせるものなのでプロモーションが多いが、人は一度見たものは2度目は驚かないので、
    末吉:そこから上を目指す必要がある
    中西:プロモにARを使う上での課題は?
    津田:短期のプロモとしては、ARは費用対効果が低い。持続的に行われるサービスにARを組み込めれば、有効に使えると思う
    近藤:単発だと「どれだけの人が使ってくれるの?」という点が課題。使ってもらえる広告として、ARは可能性がある
    中西:持続的にやっていくためにどうすればよいか?
    稲見:ARを、空間用のブラウザとして見ると未来があると思う。
    稲見:初期のブラウザも広告目的だったが今はユーザ情報を拾うためのセンサ機器として機能している。
    稲見:同様にARもセンサ機器として発展して欲しい
    亀山:広告としては費用対効果を数値化していけば、有効な道があると思う。
    亀山:また、B2Bとして、業務の中に組み込んでいくのが有効かと思う。営業ツールなど。

    会場質問

    最初の質問の、想像年と言うかどっちかと言うと現実逃避というのは、
    凄い面白かった。そう言やそうだな、と。
    ただ、回答者の稲見先生は少し怒ってたっぽいかなーと感じた。
    (少し棘のある表現で返していた用に感じた)
    質問:創造都市としてのテクノロジーとして、ARを使って都市防災などの現実側面ではなく、どちらかというと現実逃避に見える。
    質問:例えば災害時の渋滞をARを使ってどのように回避するかなど意見があれば聞きたい
    稲見:災害時の避難誘導などの事例があったり、情報を身体化できることがARの特徴なので、
    稲見:例えば津波がここまでくるなどの予防情報を発信できる。
    稲見:レスキューなどの分野に活かせるし、自分も貢献している

    次の質問。無難だ。
    質問:今ARブラウザが乱立していて使いづらい面がある。統一されないの?
    末吉:現状は確かに乱立しているが、国際会議などやW3Cで議論され始めている。
    末吉:ただ、標準化かデファクトスタンダードかの議論はどの業界にもある。最終的には誰か生き残ると思う。
    稲見:ブラウザについては乱立はやむ無し。マーカーについては商標として保護できると思う。
    稲見:商標をサーバに保持し、使ったりできる未来になるのでは?

    感想

    最後に、参加しての感想を。
    稲見先生が、将来こうなりたいか?と言う形で紹介していた広告だらけのARと、
    今まさにARで商売しようとしている人がやっている事が、凄いダブって見えるというか、
    まさにそれ!ってなってるのを感じた。
    スマホのアプリですら、広告入りの無料版と広告無しの有料版がある世界で、
    ARの使い道が主にプロモとなると大変だ。
    この辺りの摩擦について双方はどう思ってるかを聞きたかったんだが、
    質問がまとまる前に時間切れになってしまった。残念だ。

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